次世代の『稼ぐ店長』強室
月刊誌『セルフサービス』2002年9月号  第3話ー【売上を上げるための計数管理 編】


 皆さ〜ん♪ こんにちは〜!(^o^)丿 見ましたよ!SS7(本誌7月号)。文字ばっかりでしたネ…なかなか読む気になれなかった事でしょう。m(__)mゴメンナサイ! それでも一昨日、北海道の読者の方からメールを頂きました。『面白く読めました。だって、うちの店長のことを書かれているようで…ビックリ!』有難うございます〜♪ でも、『あ、コレ…もしかして、オレのこと?』って気付いて欲しいのは、店長さんの方なんですけどねぇ〜(~_~;)

これを書いている今日は8月4日。実は今、息子の中体連サッカー大会の真っ最中です。区大会、地区大会、県大会と…運良く勝ち上がり、明日はいよいよ九州大会です〜(^o^)/ 全国の体育系の部活中学生が参加して行われる、この中体連…食品スーパーが商売する余地はないものか?とずっと観察してました。うちのサッカー部員だけでも1〜3年生で約50人。そして、応援する保護者が約30人。1校1クラブだけで、ナント!80人の大所帯ですぞォ〜(*_*) コレは結構、大きなマーケットです。そこで、久々に…

商売のヒント

遠足と違い、『お弁当素材』や『お菓子』は中体連用品ではありません。夏休み突入直後の中体連では、弁当持参は少ないようです。何故なら、集合時間の早いこと、更にこの暑さですから弁当が痛みやすいのです。…で、どうしているのか? 答えは近くの弁当屋さんやコンビニで調達してるんです。ところが、1校だけで80人前ですから、会場近くの弁当屋さんは長蛇の列で大忙し、コンビニの惣菜冷ケースは早くから空っぽ状態。特に、夏の大会ですから、『冷麺』関連の人気も高いようです。




この市場に、学校近くの食品スーパー惣菜部門が乗り出しませんか? 『中体連用のお弁当予約、承ります!』『●○個を超えれば、出来立てを試合会場まで配達致します!』例えば…500円の弁当を80人分頼んだとすると、1校1クラブだけで4万円の売上アップに繋がります。貴方のお店近くの中学校にはいくつの部活がありますか? ネッ!大きなマーケットでしょ?!前シリーズでも書いたように、店内で粗利益率が一番高い惣菜部門です。放っておくのはもったいないでしょう。いつも、指導先で言う言葉ですが…『何もしなかったら、ゼロ!今まで通り。予約あった分だけ、プラスαの売上です。』

いかん!いかん!今回のシリーズテーマは『マネジメント論』でしたーッ!(^^ゞ 前号までは、部下のやる気を引き出すお話でしたが、本号からは『マネージャーのための計数管理』についてです。

色々な企業を訪問や指導していて気付くのは、意外に『計数管理』が分かっておられないマネージャーが多いってことです。先日もある準大手スーパーの店長セミナーの講師に呼ばれて、話の中でちょっとした『粗利益の計算問題』を出したのに、実に半分以上の店長さんがお手上げ…(-o-)/ オイオイ、これでは…先ほど、社長さんが粗利を上げてくれ!と皆さんに言われていたけど、どのようにして上げるつもりのなの? まさか…単純に売価を上げようと思ったんじゃないでしょうネーッ!いや、この人たち…そう思うとらすバイ…(-_-;)

『売上高』を上げる為の計数管理

まずは、売上についてお話することにしましょう。『売上高』に関する公式…


これは前シリーズでも何度もお話しましたし、食品スーパーにお勤めなら、どなたでもご存知の公式ですよね。これ以外にも…

…なども全て、『売上高』に関する公式と言えます。これらの公式は、単に答えを求める為のものではなく、『売上高』を上げる為知っておく必要があるんですよ。

【必見】売上アップのポイント

上の公式で売上アップを考えるならば、左半分を上げるか、右半分を上げれば売上は上がります。ここで、大事なことは左半分を上げようとすると、コストが掛り、その効果も疑問…という事。例えば、短期的に『客数』を上げようとすると、折込チラシの強化…カラー化、大型化、折込回数アップ、配布エリアの拡大、価格の強化…全て、コストの掛る話なのです。それでいて、投資コストを回収するだけの効果は疑問。他の『売場面積』『在庫高』『従業員数』『人件費』『広告費』…全て、お金の掛る話ばかりです…(-_-;)

それに比べ、右半分の項目は全て、皆さんの『創意・工夫』で上げられるのです。

『効率追求』と『効果追求』の違い

『効率追求』と『効果追求』…この業界でもよく使われる言葉です。しかし、どのくらいの方がこの違いを正しく理解されているのでしょうか?



【効率追求】

これは『同じ売上なら、経費を落とす』と言う考え方。今、使っている経費を削るわけですから、即効性があり、削った分だけ利益が増えます。しかし、この方法には必ず限界があります。例えば、照明を全て消す…というわけには行きませんもんね。又、この方法ばかりでは『縮小均衡』に陥りやすいことも確かです。

【効果追求】

これは『今使っている経費をそのままに、使い方を考え直し、工夫して、売上をもっと上げよう』という考え方。使い方次第で、もっと効果は上がるはずですので、その方法は無限にあります。『売上の公式の右半分』…客単価、坪当り売上、在庫回転率、1人当り売上、人件費10万円当りの売上高、広告費100万円当りの売上高…これらの指標をいつも見ながら、この切り口で『売りの仕掛け』の工夫をすればよいのです。

『売上高前年比』の落とし穴

どこの企業でも使われる指標として、『売上高前年比』があります。これは当然、今年の一定期間の売上(予算や実績)を前年の同一期間の実績で割ったもの。財務会計上、月締めの前年比を見る場合は別に問題はないのですが、日々の営業活動を行う際、一番気になるのは…『昨日現在で売上前年比は?』 つまり、(管理会計上の)月中で見る『累計前年比』です。



【よく見かける売上高前年比】

今年の5日現在の累計売上高は13,831千円。昨年の5日現在の売上高累計は12,241千円で、単純に日を対応させて前年比を見ると…

13,831÷12,241×100=113%

…で、非常に好調のように見えますが、これは前年実績が火曜〜土曜の5日間の売上であるのに対して、本年は水曜〜日曜の5日間の売上であるからです。

ところが、この数字を基に『今月は絶好調ですよん♪』と喜んでいるおめでたい方が居られます…(-_-;) そして、来月になると売上前年比が大きく割り込み、言うのです…『今年は日曜日が1回少ないから…ですねぇ〜』。そげなこつ、最初からわかっとるっちゅうねん!

【正しく判断が出来るように…】

本年の実績を本年と同じ曜日で対応させることがポイントなのです。つまり、前年の2日(水)〜6日(日)の5日間で比較すると…

13,831÷15,843×100=87.3%

…となり、売上高は前年を大きく割り込んでいることになります。これが早めに分かると、何らかのアクションを取ろう!と、誰だって考えますよねぇ〜(~o~)

(但し、年末年始、お盆、祝日、大型イベント…などは日対応となります。)

これは役立つ!『売上指数』

販売促進・広告宣伝の第一の基本は、売れる時を絶対に逃すな!』です。(お客様を魚に例えては失礼かもしれませんが、これが分かりやすいので…)つまり、『魚が居ない時は、どんな餌を付けても釣れない。まずは魚がいる時を知れ!』です。そう!CRumi物語の魚群が通る時のように…ネ!(^^ゞ

売上というのは、お客様の購買行動。つまり、生活の変化によって、その購買行動は変わってきます。それを知るためにも、あらかじめ『売上指数』を算出しておきましょう。これには『月別指数』と『週別指数』がありますが、日々の営業活動に役立つのは『週別指数』です。

『週別指数』とは、半期の売上を週平均値で割った比率のことで、整数値で表します。例えば…某企業での9月、10月の売上指数が…



このような場合、10月第4週が平均的な売上の週、9月第4週は運動会準備などで、この2ヶ月間で最も売上が高く、この週の売上を落とすと、取り返しのつかないことになりそうです。だから、この週の出勤体制や販売促進・広告宣伝に落ち度があってはいけない…ということがあらかじめ分かるわけです。

【週別指数の求め方】

(1)     最初に、昨年の日別売上高を1週間単位(月〜日曜日)で集計していきます。

(2)     次に、各週ごとに『9月第1週』というように名前を付けていきます。月初めの第1週とはその月の1日が入った週のことです。

(3)     半年分27週分出来上がったところで、更に合計金額(半期売上高)を出します。

(4)     各週ごとに『週別指数』を求めていきます。例えば、9月度第1週売上高の週別指数は…


企業によっては、半期売上ではなく、年間売上で作られているところもありますが、それでは年末年始にかかる半期があまりにも大きくなりすぎて、年末年始にからない半期の各週はほとんど指数が低くなり、判断を誤りやすいですよ。ご注意を!

最後に・・・『売上クイズ』



このぐらいお分かりになりますよね? 試しにマネージャーさん全員で解いてみてはいかがでしょうか?

そろそろお時間となったようです。では、今月はこの辺で(^.^)/~~~ 来月からは更に、『在庫』『粗利』に関する計数のお話です〜♪