儲からんことを一生懸命やってませんか?!
月刊誌『セルフサービス』8月号  第1話ーお客様の生活を知らない


 皆さん、こんにちは〜♪ 只今、ご紹介に預かった博多のPI!PIKAです。これから、来年の2月までの7ヵ月間のお付き合いではありますが、よろしくお願いいたします。m(__)mもっとも、この連載が不人気であれば、突如として消えることになると思いますので、その時は皆さん「やっぱり!」と思ってください。わざわざ、ご丁寧に私の事務所に「先生のページが消えてますよ!」なんて、ご連絡の電話やメールは要りませんので・・・。(~_~;)

 

 私はこの連載で、あんまり難しいことを書くつもりはありません。(この機関誌のターゲットやコンセプトに相反するかも知れませんけどネ)日々の売上、荒利を稼いでいるのは、社長さんではありません。現場の店長やスタッフ、そしてパートさんたちです。そんな方々が楽しく、笑って反省できて、すぐアクションに結びつくようなお話ができれば・・・と思っております。よろしかったら、このページをコピーして皆さんで読んでいただけたら幸いです。

 

しかし、最近ずっと、食品スーパーの数字(売上)が悪いですよねぇ。(いいところもありますけど…)中でも、客単価の落ち込みが大きい。1点単価の落ち込みに対して、買い上げ点数アップが追いついていない格好です。「昨年より、買う量が減ったんだ…」で、貴方の企業は済ませていませんか?減ったのはお客様のせいですか?

私が100を悠に超える売場クリニックをやってきて思うに、一部の優良スーパーを除いて、ほとんどのスーパーではまだまだ「売りの仕掛け」が足りないんですよ。更には、「地域密着」とか「お客様志向」という割には、全然お客様のことを知らな過ぎる

どこのスーパーでも、毎朝のように「地域に貢献する!」とか、企業理念を大きな声で唱和しているけど、うちの団地の「日曜日の草取り作業」にまったく出席しないのはスーパーにお勤めの方が多い? 自分の子供の運動会にも出席しない?できない?方も多いみたい。これで、ホントに「地域密着」って言えるのでしょうかねぇ。

 

調べるとそこには必ず「法則性」がある!

 

【よく見かける折込チラシ】

この前、『母の日』がありましたよね。いろんなスーパーの折込チラシを見ていたら、あることに気づいたんです。チラシのゴールデンスペース(左上)を飾っている商品に『ステーキの提案』をやっているスーパーが結構多いんです。『母の日は感謝のジャンボステーキ!』ってネ。お母さんの日々のご苦労、お世話に感謝して、いつもより大き目のジャンボステーキを食べていただこうという寸法です。男の私たちからすると、な〜んか『ヒットする企画』のような気がしますよねぇ。多分、この企画も男性の方が考え出した企画でしょう。

 

【よく見かける売場@】

『母の日』の頃になると、ほとんどのスーパーでカレー粉(ルー)をエンドに大陳(大量陳列)してますよねぇ。(いや、1年中エンドにカレー粉を大陳しているスーパーも結構ありますが・・・)あれって、お客様のためになっているのでしょうか? 多分、『母の日は、父と子で作るカレーライス!』という訳でしょう。世のお父様、そんなに多くの方が母の日には厨房に立っているのでしょうか? 私には不思議でなりません。あるスーパーの店長さんが言ってました。「カレー、結構売れるんですよ」まぁ、あれだけ積めば、何だってソコソコは売れますよ。(-_-;)

 

【よく見かける売場A】

一昨年、息子の運動会の前日、ある大手GMSに、嫁はんと二人で買い物に行きました。(外見的にはとても仲がいい夫婦といわれております…(^^ゞ)運動会のための買出しです。すると、パセリが品切れでした。パセリだけではありません。真空の味付けいなり揚げも、うずら卵の水煮もありませんでした。別に、閉店間際に行ったわけではありませんよぉ。土曜日の夕方4時ごろです。まだまだ、今からピークを迎えようとしている時間帯ですよね。去年は、運動会の前日、いろんなスーパーを見て回りました。そうしたら、まったく同じ光景があちこちで見られたんです。たぶん、明日が運動会ということに知らないままに、ご商売されているんでしょうね。更には、品切れしても、「なぜ、品切れたのか?」もわかっていないんでしょう。でも、こういった店の店長室には、「地域密着で生き残りを賭ける!」とか、墨で書いた額縁が掛けてあるんですよね。(-_-;)

 

真空の味付けいなり揚げとか、うずら卵の水煮は通常そんなに売れる商品ではないですよね。1日に5〜10個ぐらいでしょう。私どもの調査では大体、毎年36%の家庭で「いなり寿司」を運動会に持っていかれているんです。つまり、隣の小学校の全校生徒が400人だとしたら、約150の家庭で「いなり」を持って行くことになる。これじゃ、いつもの発注量だと、午前中に品切れしてしまいますよね。そんな店にアドバイスしたい・・・『先着5名様限り!』ってPOPを付けてた方がまだ親切ってね。(笑)

この前、あるセミナー会場で、昨年も私の講演を聴いたある店長さんが休憩時間に私に教えてくれました。「いなり揚げの発注を150個にしなさい!」とパートさんに言ったら、『そんなに取って、残っても私は知りませんからね!』と言い返されたそうです。でも、その店長「残ったら、俺が全部買って帰る!」と言って、強行したそうです。その結果、残ったのはたったの6個。「いやぁ、よく売れましたよ!今まで、ぜんぜん意識していませんでした。」

 

『母の日』の法則

 

それでは、話を元に戻しましょう。果たして、世のお父様、そんなに多くの方が母の日には厨房に立っているのでしょうか? 私どもは毎年毎月、福岡の主婦50名の方にアンケートを採り続けています。そのデータをご紹介します。





































「そげな奇特な父ちゃんは居らんタイ!」
















失礼致しました。全くのゼロとは申しませんが、微々たる数なのは確かです。(福岡では…ネ)つまり、世のお母様方は、母の日も自分で作るのです。自分のために、ご馳走を自分が作る。何を? ・・・となると、自分が好きな食べたいメニューとなるはずですよね。それでは、先ほどの「ジャンボステーキ」は該当しているのでしょうか?




















ステーキは無かですバイ!














これもゼロではないが、あまりにも少ないので、「その他」の中に吸収されています。母の日は『天ぷら』を中心とした和食なのである。なかでも、他のご馳走デーと大きく異なる点は「和え物類」が多いこと、これが母の日の特徴なのである。貴方のスーパーの折込チラシ・・・
『ご馳走特集』と言ったら、いつも「ステーキ、焼肉、刺身の3点セット」じゃありませんか? ご馳走というのは、日によってメニューが全然違う!ということを覚えておきましょう。ステーキを載せるな!とは言っていませんからネ。いつもゴールデンスペースではないということですよ。

私の指導しているスーパーのチラシのゴールデンスペースは、『母の日、やっぱり私の大好きな初夏の天ぷら!』である。ここで、また私のボヤキを一つ。どんなスーパーでも、冬の鮮魚売場に登場する『鍋物セット』。ところが、年間を通じてよく食べる『天ぷら』のセット物はほとんどのスーパーにない。だから、家で天ぷらをするとなると、エビ1パック15尾、キス1パック15匹・・・など、莫大の量と費用になってしまうわけである。よって、外で食べる『天ぷら定食』のように、多品種少量と言うわけにはいかず、少品種大量という食べ方になってしまうのである。そこで!私の指導しているスーパーでは、『母の日の天ぷらセット』なるものが、鮮魚コーナーに広げられるのである。エビ、イカ、キス、白身魚・・・などを組み合わせた『3点盛り』や『4点盛り』である。これの評判がなかなかいい。当然だよネ!

ついでに言っておきますが、年間を通じてのご馳走デーに登場する『手巻寿司』。なのに、鮮魚コーナーにはこの『手巻セット』(いろいろな魚を拍子木状に切ったもの)が並ばない店も多い。仕方なく、お客様方は刺身を買って帰り、刺身をそのまま巻いているのだという。刺身じゃ、巻きにくいと思いますよ。毎日置け!とは言わないが、このようなご馳走デーにはぜひ、品揃えしていただきたいアイテムである。

 

運動会・重箱の法則

 

次は運動会のお弁当の中身である。運動会のお弁当といえば、8割以上は『重箱』である。そこで、私が名づけた『運動会、重箱の法則』をご紹介しよう。どこの家庭でも、お弁当にはいろんな新しいアイデアが盛り込まれるが、結局この法則に収まってしまう。それは・・・『壱の段には揚げ物、オードブル、サラダが。弐の段には煮物、焼き物、炒め物が。参の段にはご飯類とお漬物が入る。』という法則である。それでは更に、そのメニューを詳しく見てみよう。

第1位は、鶏の唐揚げ。なんと!100軒中96軒の家庭で持って行かれます。貴方のご家庭でもそうでしょ?! どんな唐揚げを? データはあるのですが、もう紙面のスペースがなくなってきましたので、今回はご勘弁くださいませ。第4位には意外? 子供があまり好まない煮物が入っています。これは運動会にはおじいちゃん、おばあちゃんも孫の活躍を見るために来ますからねぇ。運動会前は煮物野菜(里芋、人参、椎茸、レンコンなど)を売らなければいけません。第8位には肉巻き。これも黙っていたら、買い忘れしやすいメニューです。しっかりと、POPに『運動会の肉巻き用!』とキャッチコピーを書いて、牛や豚の薄切りやベーコン、そして肉巻きの芯になる野菜類を量販しましょう。先ほども触れたように、いなり寿司が第10位で36%。『いなり揚げ』が売れるはずです。第11位はオードブル。これはよく、爪楊枝で刺したものですね。ほら!ここであの『うずら卵の水煮』を使うんですね。

このように、日頃売れないものが運動会前には爆発的に売れる!そんな商品はまだまだまだありますよ。それは『重箱を彩る』商材です。プチトマト、缶チェリー、パセリ、コーン缶…などです。こういった商品は逆に買い忘れしやすい商材ともいえますので、POPを付けたり、前出ししたりして目立つ売りの仕掛けが必要となるわけです。

このように、お客様の生活を知った上で、商売を考えて行くと、いろんな『売りの仕掛け』が浮かんでくるでしょう? そして、そのヒット率も高いのです。これが私の会社名の由来でもあるリテイル・サイエンス『商売の科学』の真髄なんです。

おーっと、大事なことを忘れていました。当然、自店の周りの幼稚園、小学校、中学校の運動会の日程ぐらい、調べはついているでしょうね。運動会のマーケットって、一斉にやってくれるからこちらも非常に攻めやすい。運動会の前日、私の指導先は大創業祭並の売上を作ってますよ!しかも何と言っても、創業祭のように、荒利益率を落とさなくても莫大な売上が作れるところが魅力なんですよねぇ。

 

それでは、そろそろお時間となったようです。また、来月も皆様にお会いできることを期待して、(ちゃんと、会えるか?ちょっと不安)今月はこの辺で(^.^)/~~~


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